山口麻以さんインタビュー
――無拳流との出会いを教えてください。
もともと私は地元で前流派の支部に在籍しており、上京にあたり地元の師範から紹介いただいたつもりで山口先生の指導される道場へ伺いました。
実は、紹介いただいた先生は違っており、いわば飛び込みで山口先生のところへ行ってしまったのですが、暖かく迎えていただきました。
道場は、会員さんがみんな優しくて仲がよくてびっくりしました。
当時、地元の道場では「笑ってはいけない」「言葉は押忍の5段活用」という雰囲気でしたから、山口先生の道場の雰囲気づくりはカルチャーショックでした。
当時は道場外のコミュニケーションも多く、何でもみんなで一緒にやる、という雰囲気でしたね。
今は道場内のコミュニケーションが増えて、これもいい形だと思います。
上下という概念ではなく、礼儀を尊びながら、楽しく空手を学ぶ。
私はこの雰囲気があったので楽しかったし、続けられたのだと思います。
技術面では、独特の目を惹く奇抜な技がとても魅力的でした。
実は、そこには「理(ことわり)」がきちんとあり、そのうえで技の使い方を教えていただけるので、体力やパワーがあまりない私でも続ける事ができました。
無拳流は、「こうでなくてはならない」ではなく、自分の身体、スタイルに合った空手を追究できます。
今、皆さんが自身でいろいろな試行錯誤を重ねられて、その先に自分の空手ができる、という体系だと思います。
――長く無拳流に関わって、どうお感じになりますか?
無拳流は蔵前、水道橋から麻布、広尾、旧青山現在の渋谷まで、さまざまな地域で展開し、インターナショナルにもなってきました。さまざまなバックボーンの方々が、一つの和の中に入ることができる。これも無拳流の面白さだと思います。
また、子供たちに影響されて親御さんが始める、という現象があることも素晴らしいと思います。
「子供たちのイキイキした姿を見て自分も」という親御さんが多いのですが、子供たちの可能性を引き出されている山口先生のご指導はすごいと思います。
子供だけに限らず、門下生一人ひとりのことを考えつくし、「まあいいじゃないか」ということが決してなく、門下生の成長だけに視線を注ぎ、とことん付き合うという熱量が、出会ってからずっと変わられません。
門下生の時間と思いをつなげて、今に、そして未来へと大きな流れを作っておられるように感じます。
今年はRINGΦFIGHTなど新しい試みも多く、大人の方にとっても、とても充実した1年だったのではないかと思います。
若い世代にもこのルールが浸透して中学校になってもやめないで続けてくれる子が増えて、道場にも活気が出てきたように思えます。
キッズクラスで出会った子供たちが、中学生になって部活などを続けながらも、最近また戻ってきてくれる。
多くの人を受け入れ、さまざまな出会いを作ることができる懐の深さのある道場になってきたと思います。
個人的にいえば、母である以上ライフスタイルもどうしても子供中心になってしまいます。
そうすると、日常生活の支障を考え、自分がしたい事も諦めなければならないケースが多々ありました。
しかし、新ルールですと怪我のリスクもほぼなく、どの年代でも楽しく安全に技術を学ぶ事が出来ると感じます。
――今回の受験への取り組みは?
審査を受ける決意は、受験された先達の皆さんの姿と、終えた後の「やってよかった」という言葉で生まれました。
受けると決めたからには、中途半端ではなく審査を意識して練習しなければならないと思いました。
道場では稽古回数を増やし、仕事でもお世話になっている大橋ボクシングジムでは45分ほぼノンストップのボクササイズと3分間のミット打ちを毎週欠かさず続けました。
途中、予期せぬ体調不良で4kg体重が減ってしまいましたが、なんとか持ち直す事が出来ました。
実は、私は持病で腰痛があります。かつては構えをしっかりとって待つ、というスタイルでしたが、出入りの早い新ルールへの対応もあり変化を考えました。
身体のコンディションを考えると、空間を作り入れさせない、その中でカウンターを取る、というスタイルです。
新ルールではステップワークも重要です。このポイントになる「かかとを上げる」も、最初は足がパンパンになってしまい、無理かなと思いました。
でも続けていればできるようになりますし、動くことで自然と体力も付きました。
また、再審査された黒帯の方々の組手のスタイルを見て、今までの空手を活かしていいんだ、と自信を持つ事が出来ました。
山口先生や一緒に練習に付き合っていただいた方々のおかげで、無事に完遂する事が出来ました。
ありがとうございました。
空手は個人のもののように見えて、実は一人では何も出来ません。仲間の大切さを改めて実感しています。
――今後の抱負をお教えください
18年無拳流を学び、黒帯をいただいても「わからない、できない」ことが多いです。
空手を続けていると、どこか自分の気持ちの中で可能性を制限してしまうことがあります。
無拳流では「できないとダメ、失敗はダメ」と決して言われないので、できるようになるプロセスを考えてトライし続けられる場です。
皆が楽しく稽古しながら、自分のスタイルを作っていくことを可能にしてくれると思います。
これから、私も道場の皆さんと一緒に成長し、皆さんをスタッフとしてもサポートできるようがんばりますので、いつでもお声をかけていただけると嬉しいです。
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