【インタビュー:黒帯への道】
■道場の空気感にひかれて始め、技術を追究できる空手に出会う
――入門のきっかけは?
社会人になったのがコロナ禍で在宅勤務がメインだったため、一日中、誰とも話さない日々が続いていたんです。それで「何か新しいことを始めたい」と思い、学生時代にバスケをやっていて元々運動は好きだったこと、以前から格闘技に興味があったことから空手の道場を探すことにしました。
格闘技については「カッコいい」という憧れくらいで、他には柔道くらいしか思いつかず……。柔道はなんだか「重い」イメージがあって空手にしたんです(笑)。空手も「型と組手があって、組手はフルコンタクト空手のようにお腹をボコボコ叩く」イメージくらいしかありませんでしたが、私はどちらかというと組手をやってみたいなと思っていました。
――空手の中でもMUGENに決めたのは? MUGENの組手は現在は顔面ありの寸止めですよね。
まず体験稽古に参加したのですが、楽しく稽古をしながらも、真剣に取り組める環境があるように感じ、それがとても心地よく「ここでやってみよう」と思いました。サークルのようにワイワイ体を動かそうという雰囲気ではなく、しっかりとメリハリのある空気感がよいなと。
組手に関しては顔面ありの寸止めでよかったと思います。何より安全ですし、これはつい最近になって感じたことですが、山口先生のおっしゃる「技の通り道」のようなものがだんだん見えてくる感覚、技術が上がっていく手応えを掴みやすいと思います。
MUGENの組手には打撃技も投げ技もありますが、自分のやりたかった、使いたかった技を決められる「あ、ここだ」みたいな瞬間が見えるようになっていくんです。
■道場ライフ~先輩と仲間からのモチベーション、まさかのボクシング体験まで
――印象と違って意外に体育会系ですね。実際に空手を始めてみてどうでしたか?ずっとコンスタントに、週に二回、稽古に参加されてますよね。
始めた当初はすべての体験が新しくて、とにかく楽しすぎました! 最初の方は気づけば自然と道場に足が向いていて、多い時は週三回稽古に出ていることもあったくらいです。その後は週二回が定着して今に至ります。
――三年間の道場生活で苦しかったことはありませんでしたか?
黄色、緑、紫あたり、つまり初級を抜けたあたりの時は、自分が成長しているのかいないのかわからず苦しかったですね。帯の色は変わるけどステップを登っているとは思えず、「これでいいのかな?」とすっきりしない感じでした。
――どうやってその状態を抜け出せましたか?
茶帯になって、先ほどお話した「技の通り道」のようなものが見えるようになってから、抜け出せたように思います。それを感じられるようになるまで曲がりなりにも継続できたのは、先生や、道場で目標としている先輩たちからのお声がけ、翔太先生や辰太郎君のように、外部の試合で、本当の高みに全力で挑戦している姿からものすごくモチベーションをいただいたからです。
日々の稽古では、とにかく先生や先輩方が見せてくださる動きを「真似る」ことに集中しました。動きを細部まで観察し、それを自分の体で再現できるよう意識する。体全体はもちろん、足の置き方や角度といった細かな点まで、ひとつずつ丁寧に真似ることを大切にしていました。
――先生も茶帯のころに「化けてきた」というお話をされていましたし、組手やボクシングを見ていても「間の取り方」や「タイミングの外し方」が本当にうまいと思います。
まだまだ感覚でしかなく、先生のおっしゃる「技の通り道」が本当に見えているのかはわかりません。でも、先生のお教えにもあるように「使いたい」技がある時は、相手を誘導して、それを使えるような状態を自分で作るということは意識しています。
――道場ライフで印象に残っていることは何でしょう?
やっぱり一番は今回の昇段審査ですね。当日はもちろん、それまでの期間も今まで感じたことのないほどの緊張感がありました。
もう一つ、昨年のマスボクシング全日本大会に出場したことも印象深かったですね。まさか空手道場に入って、ボクシングをすることになるとは、ましてやマスボクシングの全日本大会に出場することになるとは、思ってもみませんでした。山口先生に声をかけていただきボクシングクラスに出始め、RING FIGHTにも参加していたら、いつの間にか全日本の大きな会場にいる、と。すごく不思議な感じでした。
MUGENでは、本当にいろんな体験ができるので驚き、また楽しんで道場ライフを送っています。
(※記事は写真下に続きます)
■十人組手で見えた景色
――稽古を重ねて迎えた黒帯の審査には、どのような思いを抱いていましたか?
振り返ると、初めて参加したMUGENの審査会はいつもの稽古とは全く違い、その厳しさに圧倒されたものです。白帯のころ、黒帯ははるか遠い存在でした。その審査を自分が受けるなんて不思議な気持ちでしたし、この三年間で一番緊張しました。「十人最後までやり切れるのか」「プレッシャーに押しつぶされず自分のパフォーマンスが発揮できるのか」と不安でいっぱいでした。
そんな中、道場の皆さんが励ましの声をかけてくださり、本当に勇気づけられました。特にずっと憧れてきた先輩の佐藤美帆ちゃんから、応援のメッセージが届いたのは本当に嬉しくて、審査に向かう期間中、いただいたLINEのトークを一番上にピン留めしてお守りにしていました。
――審査に向けて、どのような準備をしましたか?
新しいことに取り組むというよりも、むしろ基本に立ち返ることを重視しました。
稽古の最初にやる基本の突き、受け、蹴りから丁寧に見直し、「こんなことを教えていただいたな」と思い出しながら、これまでの審査会で課題になっていたテイクダウンも細部にまでこだわって何度も練習しました。
――そして迎えた昇段審査当日はどうでしたか?
実を言うと、朝から十人組手が終わるまで、緊張のあまり記憶がほとんど残っていないのです。
そんな中での十人組手でしたが、鮮明に覚えていることもあります。それは、審査中に山口先生が「その調子!」とか「あと何本だよ」と声をかけてくださったこと。そして、組手の相手をしてくれた皆さんが肩をポンと叩いて励ましてくださったことです。そのひとつひとつがとても温かく、深く心に残っています。
十人組手が終わるまでの記憶がない分、審査が終わった直後の景色や気持ちは、はっきりと覚えています。まずは「ああ、終わった」という安心感と、自分が今出せる力全部出したぞっていう達成感、そして白帯だったころから今日までのいろいろな出来事が思い出され、こみ上げてくるものがありました。25mプールを息継ぎなしで泳いでいた感覚から、やっと顔を上げて息継ぎできた感じがしましたね。
――十人組手を振り返って、どのような思いがありますか?
道場の鏡に映る自分の黒帯姿にはまだ見慣れません。先生がおっしゃるように取ってからが黒帯の修行なんだと実感しますし、これまで以上に身が引き締まる感じがしています。
――最後に、道場の皆さんへメッセージをお願いします。
皆さんには本当に感謝しかありません。私がこうして楽しく、真剣に空手を続けてこられたのは、MUGENのこのメンバーだったからだと思います。
空手を通じて皆さんとのつながりができ、一緒に稽古できることが嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
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