小学1年生ー3年生を対象にした部門の組手トーナメントのレポートです!
前の記事では「惻隠の心」について書きました。
大会をとおして、武道で得ている大切なものがあると。
今では見過ごされてしまうような言葉ですが、「惻隠の心は仁の端なり」。
もしご興味あれば、幼年さんのコラムをご覧ください。
さて、この部門ですが「不屈」という言葉がしっくり来るようなトーナメントでした。
優勝者の顔ぶれをざっと並べても、
みんな”浮かび上がってきた”という顔ぶれだなと思います。
それは返せば「沈まなかった」という表現の裏返しでもあります。
本当に全員がそうだなと思うのです。
ある子は連敗や敗北からの浮き上がり。またある子は稽古に思うように通えない時期を克服しての復活、またある子は初の大会参加ながら経験者の相手を凌ぎ続けての開花。
“既定路線”で勝った子はいません。
また一方で、たとえ試合に負けても、姿勢や内容の素晴らしい子たちばかりでした。
手前味噌ですが、この空間の温度「育みのある温かさ」のある大会ムードは、無拳流ならではないかと自負するところです。
誰にでも復活のチャンスがあるし、誰にでも脚光を浴びる道がある。
そういう場をこそ作りたい。
それが無拳流の大会の方向性です。
それゆえに、参加者のお子様たちに対しては、なるべくきめ細かな分類をして「部門分け」をしています。
準優勝まで来た子、念願の1勝を果たした子たちもやはり「復活感」があるなという印象です。
それが意味することは何でしょうか?
誰でも成功を掴めるということよりも、誰にでも沈みがあるからこそ、屈んでジャンプして高く跳ぶことができるし、そのドラマが面白いということなのだと思います。
自分の足で屈んで高くジャンプするからこそ、だから面白いし、楽しい。
そうではないでしょうか。
乳児の頃は誰もが親に抱き抱えられて、高い高いをしてもらって、キャッキャっと喜ぶのかもしれません。
しかし親の手を振り解いて、その温もりから離れ一人立つ時には、自分で歩いて、走って、好きなところへ行って、思い切り跳び上がれる自由を求めます。
この年代の試合には、そうした子供たちの成長の勢いを感じることができました。
とはいえ、ようやく「始まった」という印象も受けるのが、この部門のもう一つの大きな印象です。
“思い切り習い事にハマる”
子供の頃にはこんなことがあっても自分はいいと思うのです。
そこで通う回数や練習する量を増やして、「熱中」というものを覚えてもいいのではないかなと。
このコラムの筆者である代表の山口はそう思います。
“好きであること”が絶対の前提ですが、
興味探求を掘り下げていく。
たとえ結果が出ない時でも、そこには価値をおくことなく
自分の理想のマーシャルアーツを作り上げていくことに、一番の熱狂を置くといい。
自分自身はそれが将来他のジャンルでも、きっと活きるのではないかなと思うのです。
この大会を具体的に振り返ってみます。
優勝者の平田結人くんは、2週間前に稽古中に涙を流しました。
ライバルがあまりにも上達していて、明確な差をつけられてしまったからです。
小栗粋ちゃんは初出場でしたが、戦いを重ねるにつれて練習時の四倍くらいは上達しました。
ほぼ本格的な組手は「初めて」でしたが、団体戦では大将を徒止めてもらったり、連続の戦いをオーダーしました。
彼女ならできると思ったからです。
また、加藤聖くんは今までの大会で失意を何度味わったことでしょう。
けれども彼のマイペースさ、個性も大切にすべきです。
急き立てることなく、彼本来の能力が引き出されることを、指導者としても見守り続けました。
鏑木琢磨くんも同様にマイペース感の強い子ですが
一日前の演武会も併せて、よく頑張って準備してきたなという印象があります。
演武会終了時に彼のお父様が「型を親子で練習しました。親子にとってもよき経験となりました」
お父様は道場の会員さんで張りませんが、そう仰っていただいて腑に落ちました。
親も共に楽しんで子供の世界に共感すれば、子は必ず伸びます。
金島凛太朗くんも思うように道場に通えず、他の子たちに差をつけられてしまって悔しそうな時期が再三ありましたが、今回頑張って優勝することができました。
また、石坂優弦くんは、ライバル沓澤杏樹くんとのライバルダービー、勝敗を麻以大会ごとに入れ替えて頑張っている最中です。
負けても折れず、より一層互いに燃える。最高の関係性です。
蔵前道場のことはあまり詳しい事情は分からず申し訳ないのですが、今回3年生の部門で澤田くんが勝利したことは、山口夏来くんや伊賀原杏ちゃんの今までの活躍を割ってこじ開けてきました。やはり諦めないことです。
また準優勝の子たち、念願の1勝を掴んだ子たちにも、「大きな前進」をしたなという子たちがたくさんいました。
そして何より忘れてはいけないのが、たとえ今回勝てなくても、これも今後の大きな前身のためのジャンプ台になりうるということです。
そういった意味では、貴重な収穫なのです。
最後にMVPの一人である、幼年クラス年長さんでありながら、前回のDRAGON TOURNAMENTで型破りの強さを見せたため1年生の部門に昇格して戦った、長﨑さくらちゃんの勇姿に心から賞賛を贈らせてもらいたいと思います。
大会は紋切り型に、ざっと年齢と体重で分けてやってしまえばいいのではないと考えています。
常に誰にでも希望の湧くトーナメントを用意する。
心身の安全が保たれて、それでいてエキサイティングな場を作る。
この中で、子供たちの心身の成長が促進されるような健全なトーナメントを追求して企画運営しています。
よく聞かれるのですが、次は来年2月か3月に「RING Φ FIGHT」というイベントを子供向けにも提供してみようかなと思案しています。
そして最後に。
いつもご自身のお子様だけでなく周囲のお子様をも、温かく見守って応援してくださっているご父兄の皆様に、心よりお礼申し上げる次第です。
また日々の道場でお待ちしております!
無拳流空手道青山本部道場
代表 山口雄史
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